考えても答えの出ない問について

私は結局のところ支配したいのだ、と思う。何をって、ありとあらゆるものを。
私の胸をまさぐって、何も出てこず途方に暮れるその表情がたまらない。何も出てこないけれど、何かある。しっぽが見えているのに掴めない。それが癖になり、追いかける。そうやって、追いかけられたい。追われることは、追うことよりずっと楽しい。だって、いざとなれば、両手を広げて受け入れられる。受け入れれば、私は一人にはならない。追われるポジションが決まった時点で、勝ちかあいこしかない試合になる。一人になること、誰にも選ばれないことは、負け。負けは、死ぬこと。死にたくないことは、当然のこと。

私の「猫」はどこからやって来て、どこに棲んでいるのか。どうして私はその猫を被るのか。
それは考えるべき話に違いない。そうとも。

私は私である限りずっと苦しい。
苦しいから、飛んでしまいたくもなる。
けれど、私の背中を見て、「生きて」と囁く人がいる。
生きて、と言われれば、生きるしかない。
私の生存を望む人がいるなら、生きるしかない。
生きてと言ったなら、そっちも生きてよね、と言わざるを得ない。
世界はそういう仕組みで動いている。
生きてと言うために生き、生きてと言われるために生きる。
そういうもの。
そういうものだと、高校二年生の冬、思った。

0コメント

  • 1000 / 1000