1211 ミッドナイトスワン

元SMAPの草彅さんがトランスジェンダーの役を演じたことで話題になっていた「ミッドナイトスワン」を鑑賞。



きっと渚はこの世界のどこかにいるし、一果もどこかにいる。



誰もが何かしらの悲しみや苦しみを抱えて生きていて、その対処法も様々。

一果のように腕を嚙む人もいれば、渚のように泣き続ける人もいて。



悲しみは分け合えない。どれだけ抱き合っても。

だから夢中になれることで中和するしかないんだって思った。



印象的だったのは渚の面接のシーン。


「LGBTね、今流行りですよね」って平気な顔して言うおじさん。

しかも社内研修なんかで僕も勉強してますよ、なんて続けちゃう。



これ、あるんだよなあ。

しかもおじさんにはなんの悪気もないってところがまためんどくさい。



見てるこっちもしんどくなっちゃう。

就活でそんなこと言われたらダメージでかすぎじゃんね。




あと、蘭ちゃんの最期。


気持ちいいくらいサクッと落ちていった。


最期に思い浮かべたのは、舞台で踊る一果の姿だったんだろうな。

ある意味で彼女は登場人物の誰より空っぽだったのかもしれない。


途中のキスシーンも良かった。

全然官能的じゃないキスなの。

ついばむようなキスって、存在を確かめるようなキスって、そう思った。



この映画、もちろんLGBT映画として見られるけれど、それ以上に深い。


コンクールの舞台上で一果が呟いた「お母さん」という言葉、いったい誰に向けられていたんでしょうか。



邦画の中ではトップって言っていいくらい好きな作品だったな。


繰り返し見たい作品。

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