614 夏の足音、あるいは梅雨不在届
今晩はカレーらしい。我が家のカレーは決まってこくまろを使ったチキンカレーだ。仕事をして帰ってくる母の代わりに私が作ると申し出た。それくらい、やらないと。だって私ずっと家にいるんだもの。
私には譲れないものがある。カレーには福神漬けが無いといけない。あの食感がカレーには必要だ。
しかし家に福神漬けは無い。では買いに行こうではないか。最寄りのスーパーまで自転車を走らせる。
日焼け止めを塗った肌に太陽の光が反射して眩しい。田んぼのあぜ道を勢いよく走り抜けていく。開けた田園風景に青空。夏の雲。今年の梅雨はどこへ行ってしまったんだろう?青々と茂る草木が夏風に揺れる。
スーパーについて漬物コーナーに向かう。ひと袋100円の福神漬けを見つけた。これで私のカレーは完璧になる……。
いや、待てよ。平日の昼間、大学生、福神漬けだけの会計。ちょっと恥ずかしいな…。
迷った挙句値引きになっていた野菜ジュースを買うことにした。合わせて196円。200円出して、ふと思う。いやこれ、福神漬けだけの方が恥ずかしくなかったのでは?後の祭り。
さて帰り道。行きと同じ道を通っていく。誰かと併走する訳でもないしとマスクは外してしまっていた。マラソンのおじさんだって外してるし、いいよね?
これを口ずさみながら自転車を漕ぐ事の爽快さよ!
映画の中の、パプリカが自由に空を滑るシーンに重なる。楽しい。私の中での最高のサイクリングソングである。
出来上がったカレーの写真はないがとっても美味しく出来ました。やっぱりカレーは美味しいですね。
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